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国立台湾大学医学部付属病院:報告レポート
施設名:国立台湾大学医学部付属病院住所:台北市中山南路七號100訪問日時:2006年7月21日(金)
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国立台湾大学医学部付属病院は台北市の中心部に位 置し、長年国内トップクラスの医療を提供することで、台湾の医療の向上に非常に大きな役割を果 たしてきている。 台湾の医療制度としては国民皆保険が導入されており、病院システム管理には電子カルテ化もかなり進んでいるようであった。
今回の視察の目的であるフードサービスに関して、栄養部スタッフに1時間程説明を受けその後厨房・院内フードコートの見学をした。この内容についてまとめたい。
医療費には国民皆保険が適応されるが、給食費に関しては患者全額負担であることから、病院給食の提供は患者からのオーダーがある場合に限っている。その為、病床数2,300床のうち給食提供者数は1,000人程度であり、残りの患者は地下にあるフードコートやコンビニ、又は患者家族の持参するお弁当を食べているとのことであった。1,000食のうち食種の内訳はregular:special=1:1であり、食事(3meal,2dessert)の合計金額は1日250元(日本円で約1,000円)であった。治療を兼ねた市販の流動食品(缶 or液体)に関しては保険の適応範囲である。患者食の他に、病院スタッフの約一割にあたる500人に食事の提供をしている。よって院内に供給される食数は1,500食程度である。
フードサービススタッフは80名(うち栄養士15名)、委託12名、合計92名であった。 スタッフのモチベーション向上のためコンペを毎年実施しているとのこと。選択メニューは日本で一般 的に行われている主菜の選択ではなく、ご飯or麺などと主食が選べるようになっていた。食品衛生・品質管理の一環として興味深かったのは、トレイメーク最後に金属探知機を通 し異物混入防止に努めている点であった。
患者給食・スタッフ給食外の活動としては、妊産婦・授乳婦用の食事を作り冷凍にしてデリバリーをしていたり、健康診断に来た外来に対して豪華なお弁当を提供したりしている点である。これらは「治療飲食商業化」という項目でさまざまな展開をしている。 又、院内で発生する食事提供の依頼(会議や催し物等でのパーティー食)には、全て栄養部が対応しているという。しかし栄養部主任の話では「日本の様に患者給食に絞った給食管理をしたい」と言うのが希望のようであった。現状では要望が多く、現場管理が大変とのこと。栄養部の今後の展望としては「アジアNo,1を目指している。臨床をさらに強めていきたい。給食管理においては、レストランの様にオーダーできるようにしたい。」とのことであった。
患者食の提供に終始している日本の給食管理にとって学ぶべき点が多くあると感じた。 1日250元(1,000円程度)の給食費が保険の適応外(全額自己負担)であることと、日本より貧富の格差が大きい台湾では病院給食を強制できない理由の1つであると思われる。日本もまた、患者の自己負担率増加や所得の二層化が懸念される現状において、近い将来台湾の現状に近づくことも考えられる。
日本の病院給食部門においても、「治療飲食商業化」のようなサービスを取り入れることで収入増加が期待されるが、日本の現給食管理の中に取り入れるには様々な面 を見直す必要があると思われる。
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